αアルファ/+αプラスアルファ

α-アルファ- (集英社文庫―コミック版) (集英社文庫 く 14-29)

データ

 

作品名

αアルファ・+αプラスアルファ

著者

くらもち ふさこ

巻数

全2巻

出版社

集英社

掲載誌

コーラス

出版年

2003年

おすすめ度

★★★★★

これから読まれる方へ

なるべくネタバレのないあらすじ

海底のような星にあるパレスに住むサクラ姫は、18歳の誕生日を前に、自分に婚約者がいたことを知らされます。その婚約者はすでにパレスに迎えられている、と国王である父親はいいます。自分の恋している相手アサダが婚約者であればどんなによいだろう、とサクラは思うのでした。   この星には、クラゲによく似た「スワスワ」と呼ばれる生き物がいます。普通の人が触れば感電してしまうのですが、オメガ星出身のアサダは、絶縁体となってスワスワに触ることができます。アサダの体に触っている者も、その効果を得てスワスワに感電すること無く触ることができるのです。サクラはそれを口実に、よくアサダに手を握ってもらってはスワスワに触って遊んでいました。アサダと街にでたサクラは、アサダが婚約者であること、しかしアサダは女官のローズウッドと恋仲であるため、婚約者を辞退したいと打ち明けられます。サクラは傷つきながらも受け入れ、ヴィータ星人のキリを代役にたてて婚約に臨むのでした。   しかし、体に触れただけで相手の思考を読み取ることができるヴィータ星人をサクラは苦手に思っていました。婚約の席上、キリはアサダがさぞ傷心だろうと言い出します。キリは先日パレスでアサダに触れた時、うっかりアサダの心を読んで、アサダの出生の秘密を知ってしまった、と話します--。  

メモ1

ネタバレなしなのであまり詳しくは書けないのですが、この作品は関連をもつ短篇を集めたパラレルワールド短編集のような作りになっています。ご紹介したのは、その一番はじめの短編です。次の短編では、全く違うストーリーが描かれます。その短編同士の構成が新規性があって非常に巧みなので、是非読んでいただきたいと思います。構成もですが、短編もそれぞれ楽しめる作品です。  

メモ2

この作品は、ドラマにもなった長編「天然コケッコー」の後作品です。「天然コケッコー」はくらもちふさこの近年の代表作ですので、その後第一作にSFを持ってきたということはかなり意欲的に挑戦してると思ったのですが、実は更に構成が工夫してあって、本当に才能がある漫画家なのだと思い知らされます。             以下ネタバレあり!

また読みたくなった方用

雑誌・文庫で読まれた方と、コミックスで読まれた方とでは全然感想が違うのではないかと思います。

短編それぞれの感想

短編は次の6つあります。
  • α#1(上記で紹介したサクラの話)
  • α#2(機械音痴だけど大人っぽい女の子と電機屋の店員の話)
  • α#3(女の子と、その女の子の身代わりになって河で死んだ親戚のみっちゃん、みっちゃんの弟の3人の話)
  • α#4(宇宙船に乗っているポチと艦長の話)
  • α#5(「碧の宝石」をもつ名家スペンサー家の奥様に仕えるメイド、ゾウイと、それを狙う怪盗の話)
  • α#6(素行の悪さがたたって、女子校に一人転入することになった男の子の話)
どの短編も好きなのですが、 特に好きなのは#1と#3です。#1の方は最後のどんでん返しが好きで、#4の方はもう単純にポチがかわいくていじらしいなあと思うのです。 最後の#6は少し後味の悪い話なのですが、もともと素行が悪い男の子という設定なので多少は仕方ないですね。どの短編もすっきり後味がよいので、よりによって一番最後の短編だけ…と思ってしまいますが。  

全体の構成について

この作品は、大物俳優の娘で自らも芸能界に入った三神后子と彼女を取り巻く3人の俳優 天水キリ・生田理一・山本耀(かがり)の話です。彼女たちが演じる劇中劇・「αアルファ」シリーズと、並行する彼女たち自身の物語「+αプラスアルファ」の2部構成になっています。長い下積みを経た個性豊かな3人に対し、親の七光という言葉にとらわれ必要以上に意識してしまう后子。彼らに憧れるとともに僻む気持ちもあり……やがて、天水キリが気になり始めますが、3人の中で唯一の女性である山本耀と親しい様子なのが心配です。一方、后子の父親を尊敬し后子の付き人をやっている生田理一の思いは……?と、演者たちのドラマも見応えがあります。 雑誌掲載(コーラス)時は、ドラマの短編「αアルファ」が#1から#6まで連続で掲載され、後にそれを演じる后子たちの人間模様「+αプラスアルファ」が#1から#6まで掲載されました。毎回、ラブストーリー・SF・コメディ・ミステリー…とまったく異なるドラマが同じ顔の登場人物達で描かれ、これどういうことなんだろう?と不思議に思ったものです。しかもその短編がどれもおもしろいので、毎月コーラスの発売を楽しみにしていました。一応扉ページに、「サクラ…三神后子」など役名と演者の対応が毎回書いてあるので、お芝居で同じ人が違う役を演じているという設定なのだろうとは推測できるのですが、それにしてもその演者自身の話がまったくないまま毎月短編が掲載され続けるという興味をひく作りでした。最終話で全てがカチッと説明されるのかと思っていたのですが、後に「+αプラスアルファ」が掲載されて、演者たちがなにを考えながら、どういう状況でその役に取り組んでいったかがわかります。   コミックス(ヤングユーコミックスワイド版)収録時はそれが一変して、「αアルファ」と「+αプラスアルファ」が交互に入ってくる構成でした。つまり、「αアルファ」#1→「+αプラスアルファ」#1→「αアルファ」#2→「+αプラスアルファ」#2→…と、演じた作品とそれを演じた時の后子たちの物語が同時に楽しめる仕掛けです。それぞれを別々に読むのとは違って、こちらの方は后子たちに感情移入してしまいます。「αアルファ」を読んでいても、この時はこの人はこう思ってたんだよなあとか、演者の気持ちを考えてしまいます。同じ漫画が構成を変えるだけでここまで違うのかと驚きます。     文庫版(集英社文庫―コミック版)の方は、雑誌掲載時と同じ掲載順で、また「αアルファ」と「+αプラスアルファ」が別々に分かれています。私は最初にこちらの順番で読んだので、懐かしく読み返しました。現在新刊で入手できるのは、こちらの文庫版だけのようです。本当に素敵な作品ですので、ずっと手元に置いておきたいと思います。 α-アルファ- (集英社文庫―コミック版) (集英社文庫 く 14-29) +α-プラスアルファ- (集英社文庫―コミック版) (集英社文庫 く 14-30)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です