カリフォルニア物語

カリフォルニア物語(1) (フラワーコミックス)

データ

 

作品名

カリフォルニア物語

著者

吉田 秋生

巻数

文庫本全4巻(Kindle版あり)(単行本全8巻は絶版)

出版社

小学館

掲載誌

別冊少女コミック

出版年

1878~1981年

おすすめ度

★★★★☆

これから読まれる方へ

なるべくネタバレのないあらすじ

主人公ヒースは、18歳でカリフォルニアから暗い空のニューヨークに出てきました。知人のインディアンという男を頼って、同じ建物に下宿させてもら うことに。ところが、西から来る途中で道連れになったイーヴという少年も一緒に住むといいます。イーヴはカリフォルニアの青い空に憧れ、西から来たという だけでヒースについてきたのでした。同居を続けるうち、ヒースはイーヴが充分な教育を受けられる環境になく、字も読めず人をたやすく信じてしまう性格であ ることを知ります。一方ヒースは才気煥発で感情的な性格でしたが、やがて二人はお互いを理解していきます。   二人が出会ったのは、ヒースがカリフォルニアにいく途中で泊まったテキサスのホテルでした。イーヴがスリをやって、ヒースの部屋に逃げ込んできたのです。ホ テルの息子ブッチは、ごろつきとつるんでヒースをそそのかし、旅人から金品を巻き上げているのです。その標的になったヒースでしたが、ブッチたちを首尾よ く撃退し、ブッチの妹スウェナとも仲良くなります。やがて再び東へ向かおうとするヒースに、イーヴは一緒についていくのでした。後にブッチと、彼を追いか けてきたスウェナもニューヨークに出てきます。   ある時、イーヴを訪ねて小汚い男がやってきました。彼はイーヴの義父だと名乗り、彼をハーレムの自宅に連れ帰ります。そこでヒースとブッチは、イーヴが生活 の為に男娼やスリをやって生きてきたことを知らされます。いやしいマネをしていたことがヒース達にばれてしまい、アパートへ帰ることを拒否するイーヴ。 ヒースは、自分もジャンキー寸前だったことを告白し、気にすることはないと励まします。こうして、イーヴはヒース達のアパートへ帰ってきます。   そこから、ヒースのカリフォルニアでの生活の回想が始まります。カリフォルニアでのヒースは、素行はあまりよいとは言えないながらも高校生活を謳歌していま した。両親は離婚しており、弁護士で厳格な父親、出来の良い兄との3人暮らしです。もうすぐ婚約する兄が父親に可愛がられていることに羨望を感じながら も、真剣に交際するガールフレンドもでき、クロスカントリーの選手として期待されていました。しかし、不良仲間から抜けだそうとしているのではないかと疑 われ、監禁されて麻薬を打たれてしまいます。その後も麻薬の中毒症状に悩まされ、父親との諍いもあってカリフォルニアを出て行く事を決意するのでした。   こうしてニューヨークで、ヒースとイーヴを中心にした生活が始まります。ようやく自分の居場所を見つけたヒースでしたが、そこに思わぬ知らせが……。  

メモ1

ヒースの兄テレンス(テリー)目線の、幼い頃の兄弟の思い出を記した番外編「夢の園」も文庫本4巻に収録されています。幼少期からカリフォルニア物語の序盤に至るまで、優越感と羨望の入り交じる感情で弟に接し、理解していた兄の日常が鋭い感性で描かれています。

メモ2

作中に出てくるニューヨーク市警のジェンキンズ警部は、部下のチャーリーとともに吉田秋生の代表作「BANANA FISH」にも登場します。

メモ3

吉田秋生は、弱冠20歳でカリフォルニア物語を描いたそうです。感受性豊かな頃に描かれた繊細な作品でありながら、非常に高い完成度です。同性愛や麻薬などデリケートな話もありますが、アメリカの日常の一つとして作者が真剣に向かい合っているのが伝わります。   以下ネタバレあり!                

また読みたくなった方用

イーヴは自分がヒースを好きになってしまったことに気づきます。自分の気持ちを告白するも、ヒースと付き合っているスウェナに遠慮したイーヴは同居の解消を申し出ます。自分の部屋を借りたイーヴですが、ブッチにそそのかされて泥棒の片棒を担ぐはめになります。ブッチは彼女を妊娠させてしまい、その手術費用を工面するために計画しているのでした。ところが途中で警察に見つかり、イーヴが撃たれてしまいます。なかなか治らないイーヴの治療費を稼ぐため、ヒースは男娼を始めようとします。その試みは未遂に終わりましたが、イーヴに気づかれてしまいました。二人はお互いを思いやるがゆえに、喧嘩してしまいます。   そんな折、ヒースの兄が事故で危篤という知らせが入ってきます。結局兄は助からず、カリフォルニアで葬式を終えて帰ってきたヒースを迎えたのはイーヴの置き手紙でした。イーヴは傷も治らぬまま、家出してしまったのです。スウェナがイーヴに言った一言が原因でした。   ニューヨーク市警のジェンキンズがヒースを訪ねてきました。彼はイーヴが、ホテルの5階から墜落死したと言います。兄の死に続いてイーヴの訃報にショックを受けるヒース。しかし立ち直る暇もなく、警察からイーヴ殺しの犯人としてマークされてしまいます。ヒースがイーヴの最期に関わった男を見つけて自分の容疑を晴らし、ニューヨークから去ってこの物語は終わります。   前半はイーヴとダブル主人公という感じですが、後半はヒースが全てを背負っています。それにしても、後半相次いで亡くなる二人にはショックを受けました。  

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