妖精組曲

わたしの恋は星まかせ (講談社コミックスなかよし)

データ

 

作品名

妖精組曲

著者

あさぎり 夕

巻数

全1巻(短編)

出版社

講談社

掲載誌

なかよしデラックス

出版年

昭和55年

おすすめ度

★★★☆☆

これから読まれる方へ

なるべくネタバレのないあらすじ

ヒロイン、レオノーラは同じ夢ばかりみるようになりました。夢のなかでは古城にいて、悪魔か妖精のような外見の男がヘレーネという女性を呼んでいるのです。レオノーラは恐ろしいと思うと同時に、懐かしいという気持ちも感じるのでした。   そんな話をボーイフレンドのカールにすると、カールの故郷では未だに悪魔や妖精を信じているといって写真を見せてくれました。それは、カールの故郷にある幽霊城という古城の写真でした。レオノーラは、その城が夢にでてきた古城にそっくりだと気づいて驚きます。   レオノーラとカールは、カールの故郷にやってきます。カールの屋敷に泊まった夜、レオノーラは夢遊病のように外に出て、夢にでてきたあの古城にやってきました。彼女はそこで、フレデリックと名乗る古城のあるじと出会います。古城に招かれたレオノーラは、そこで300年前にその城に住んでいたヘレーネという女性の肖像画を見ました。フレデリックは、レオノーラがヘレーネにそっくりだと言います。レオノーラはフレデリックに、なにか懐かしい気持ちを抱くのでした。   カールの屋敷に帰ったレオノーラは、古城とヘレーネにまつわる言い伝えをカールのいとこから聞きます。古城に住んでいた姫ヘレーネは、森に住む銀色の妖精に恋をします。しかし、娘が異形の妖精に恋をしたのを知った城主は、領民を集めて森の妖精たちを皆殺しにしてしまったのでした。ヘレーネもまた、愛する妖精をかばって死んでしまいました。それ以来、たった一人生き残った銀色の妖精の仕返しを恐れて、村人は森へは近づかないそうです。   カールと森の近くを散策中、レオノーラははぐれて森の中に入り込んでしまいました。レオノーラはそこで再び、フレデリックと出会います。フレデリックは、「ヘレーネ…」と呼びながらレオノーラを抱きしめます。フレデリックは、領民による妖精たちの虐殺でたった一人生き残った銀色の妖精だったのでした。ヘレーネが死の直前遺した、生まれ変わって再び逢いにくるという言葉を信じて、300年前の間孤独に耐えながら待っていたのでした。フレデリックは、ヘレーネがとうとうレオノーラとして生まれ変わってやってきたのだと確信します。   フレデリックとレオノーラは互いに惹かれ合います。しかしある時、二人が森のなかで逢っているのを目撃したカールは、水に映ったフレデリックの姿が人間のものではないことに気づくのでした。  

メモ1

作者 あさぎり夕は、90年代になかよしで活躍した少女漫画家で、「きらら星の大予言」「コンなパニック」なんかが代表作でしょうか。後にボーイズラブ作品に活躍の場を移し、なかよしでの読者だった人の中にはショックを受けた人もいたとかいないとか……。   紹介した作品「妖精組曲」は単行本「わたしの恋は星まかせ」に収録されています。他の作品はコテコテの乙女チック少女漫画で時代を感じさせますが、ところどころに印象深い台詞があったり、典型的なストーリーながらそつなくまとめられていたり、この後も長く活躍していく漫画家のセンスの片鱗が垣間見えます。同じ単行本に収録されている「秋色ポートレート」も好きな作品なので、機会があればご紹介したいと思います   そんな乙女チック少女漫画の短編の中で、「妖精組曲」は他の収録作品とは明らかに異色の作品です。舞台が現代日本ではなくドイツで、おどろおどろしい雰囲気が漂っています。なかよしの読者層に合わせてコテコテの少女漫画を書いていたのでしょうが、あさぎり夕は本来こういう嗜好の人だったのでしょう。ストーリーの引き出しの多さも感じさせます。  

メモ2

ところで、結ばれなかった恋人の生まれ変わりを待ち続ける異形の若者というストーリー、何かを思い出す人はいませんか?そうです、あれですね。こちらの方が作品としては古いのですが、私はこれを読む前に「妖精組曲」を読んでいたので、「あれ?この漫画はじめて読むのになんか見覚えあるような…?」としばらくモヤモヤしていました。 悪魔の花嫁最終章 5 (ボニータコミックス) 以下ネタバレあり!

また読みたくなった方用

  •  現世のレオノーラ自身が妖精に好意を持っているのか、本当にヘレーネの生まれ変わりなのかがはっきりとしないまま物語が進んでいく
  • カールが己の中にある醜さを自覚するシーン
  • 最後に二人が結ばれる形
など、単純には理解しづらい場面も多く、やや大人向けのストーリーとなっています。収録されている他の作品が、同世代の男の子を好きになって、一悶着あって結ばれるという典型的なボーイミーツガールなので、「妖精組曲」だけやたら浮いて見えます。特に、レオノーラが最後まで自分がヘレーネの生まれ変わりだとはっきり自覚しないまま、それでも妖精を愛して共に死を選ぶ場面などは考えさせられるものがあります。  

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