落ちこぼれのアキレス腱

落ちこぼれのアキレス腱

データ

 ※今回紹介する漫画には、成人向け表現があります

作品名

おちこぼれのアキレス腱

著者

もりた じゅん

巻数

全1巻(短編) (Kindle版・電子書籍で入手可能、単行本は絶版)

出版社

集英社

掲載誌

YOU

出版年

1986年

おすすめ度

★★★☆☆

これから読まれる方へ

なるべくネタバレのないあらすじ

ナースの松川高子は、銀行員からのプロポーズを断って、生まれた街に5年ぶりに戻ってきました。高子が結婚に踏み切れない理由は、街をでるきっかけにもなった哲郎でした。哲郎と高子は小さい頃からの幼なじみで、大人になってからは哲郎が事務部長を務める大病院で、高子がナースとして働いていました。   二人は過去に付き合っていましたが、哲郎には、血を見ると失神してしまうという弱点がありました(一方高子は手術室勤務のナースとして働き、血を見るとむしろ奮い立つほど気丈です)。そのため、大病院の跡取りでありながら、医師になることを諦めなければなりませんでした。医師になれなかった哲郎は、名門の令嬢と結婚して財政面から病院を支えるよう周囲から期待されていました。哲郎自身もそのつもりであることを知った高子は、看護婦(※)である自分との結婚は望めないことを悟って、故郷を去る形で身をひいたのでした。 ※現在は「看護師」表記の方が一般的ですが、作中の表現に合わせます。当時はまだ、「看護婦」が当然のように使われていました。   哲郎は、医師になれなかったため親戚から落ちこぼれ扱いされながらも、有能な事務部長として頼りにされていました。思い出を振り切るために故郷に帰ってきた高子でしたが、むしろ凛々しくなり仕事面でも頼り甲斐のある男性となった哲郎をみて、戸惑うのでした。哲郎は、高子によりを戻そうと迫りますが、高子は素直になれません。   コンパクトな短編ながらしっかりしたストーリーは、まさに大人の女性向け少女漫画といったところです。

メモ1

作者もりたじゅんは、1960年代〜1970年代半ばまで「りぼん」を中心に少女漫画家として活躍しました。その後、産休時には引退を決意したそうですが、結局二度の産休を経て1982年から「YOU」を中心にレディースコミックで再び活躍しました。2000年代に入ってからストーリー作りに行き詰まりを感じ、2007年に58歳で漫画家を引退されたそうです。現在でも、夫である本宮ひろ志の漫画で原案・作画アシスタントとして活動されています。   ストーリーが作れなくなってから、本宮ひろ志に助力を頼んでなんとか読み切りを完成させたという逸話があります。本人たちは大変だったのでしょうが、二人の絆を感じさせるエピソードです。   青い季節  

メモ2

りぼんでは一条ゆかり・弓月光と同期生で、それに因んだ本も出ています。いずれも、すでに大ベテランですね。もりたじゅんと夫の本宮ひろ志の話なども、この本で詳しく述べられているようです。 同期生 「りぼん」が生んだ漫画家三人が語る45年 (集英社新書)   以下ネタバレあり!                

また読みたくなった方用

レディース雑誌YOUに描かれた作品です。表現などは大人向けを意識して描かれていますが、ストーリーの骨子にはよい意味で少女漫画の遺伝子をがっつり感じますよね。それでいて一本調子ではなく、楽しめる物語に仕上がっています。さすがもりたじゅんです。成人向け表現などは、あえて入れなくても……と思わないでもないのですが、雑誌のカラーに合わせたのでしょうか。   ポルノ女優の妹である主人公が、姉の結婚を成功させるために姉になりきって生活する「誘惑されて愛されて」も同時収録されています。姉と結婚する予定の男性の兄は、大事な弟がポルノ女優と結婚することに大反対。しかし、主人公が姉だと勘違いしたまま恋に落ちて……という珍しいシチュエーションのラブコメです。もう一つ同時収録されている「まんが屋さんと洋服屋さん」と合わせ、いずれも起承転結がはっきりしていて読み応えがあります。  

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