銀河荘なの!

木原敏江全集 5 銀河荘なの!

データ

作品名

銀河荘なの!

著者

木原 敏江 (木原としえ)

巻数

全2巻(前後編)(現在最も入手しやすそうなのは、木原敏江全集5のようです)

出版社

集英社(集英社のマーガレットに載ったものが初出ではないかと思いますが、その後白泉社や角川、秋田書店からの全集や文庫でも出版されているようです)

掲載誌

マーガレット

出版年

1975年

おすすめ度

★★★☆☆ ※本が手元に見当たらないため、以下は記憶を頼りに書いています。間違っている箇所があるかもしれません……

これから読まれる方へ

なるべくネタバレのないあらすじ

ヒロインであるビクトリアとミス・クイーンは、家事をするなら下宿代無料という触れ込みに誘われて銀河荘にやってきます。銀河荘には、女主人とその息子の4人の兄弟が住んでいます。末弟のジークフリートは、素直で天真爛漫な男の子(木原敏江の漫画には必ず出てくるタイプですね)。ビクトリアはすぐにジークフリートに惹かれていきます。   ところが、銀河荘の一家は実は全員吸血鬼(正確には、吸血癖のある異星人)だったのです。自分の正体を知り混乱するジークフリートとビクトリア。一方、一家の正体を知った街の人達は彼らを撲滅しようと動き出します。   優しくもちょっと切ない結末が印象的です。  

メモ1

吸血鬼つながりで、「ポーの一族」の萩尾望都が作画している部分があります。他にも、大島弓子・あべりつこ・忠津陽子・名香智子・島津郷子などが手伝ったそうです。それらしいコマを探しながら読むのも楽しそうですね。 今は「銀河荘なの!」が収録された単行本は全て絶版で、古本で手に入れるしかないようです。amazonで見る限り、古本の在庫はほどほどにあるようですが…(下の画像からamazonへいけます)。   以下ネタバレあり!

また読みたくなった方用

4人の兄弟は上から順に、
  • ヘルメス     若い紳士風の青年で、教授
  • イカルス     どうみてもスフィンクスにしか見えない髪型だったような……
  • オルフェウス   けだるい感じの青年。他の兄弟に自分より可愛がられているジークフリートにヤキモチを焼きますが、それでもやっぱりジークフリートのことは可愛かったのですね
  • ジークフリート  ヒロインの恋人
聡明な上の兄2人に、わがままな三男、ピュアな末っ子という感じです。ジークフリートは実は彼ら一家とは血のつながりがなく、幼いころ行方不明になったビクトリアの幼なじみです。一家はジークフリートをビクトリアの元に返すことに決め、ジークフリートだけを置いて再び宇宙に帰っていきます。ジークフリートを自分たちの星に連れて帰れば、彼に永遠の命を与えて自分たちと同じ時を過ごせるようにもできたのです。しかし、天から与えられた命を精一杯まっとうしてほしいという願いから、敢えて愛する弟を地球に残すことにしたのでした。 ビクトリアの幼なじみミス・クイーンと、イカルスの密かなロマンスも見どころです。イカルスはミス・クイーンを愛しているのですが、ミス・クイーンは自分がヘルメスを愛していると思っています。そのため、イカルスはミス・クイーンをそっと見守るだけです。後にミス・クイーンがイカルスを愛していることに気づいてからも、イカルスは地球に残って限りある生命を生きたほうが彼女のためになると考え、彼女に同行を強制しませんでした。    

個人的な感想

オルフェウスはジークフリートへの嫉妬から、結果的には一家のピンチを招いてしまいます。しかし最後の最後でやはり弟を愛していたことに気づき、ジークフリートを助けるのです。オルフェウスは上の二人の兄に比べ、嫉妬と愛情の板挟みで悩む非常に人間的なキャラクターです。木原敏江の漫画は、ヒロインもヒーローも基本的には類型的な純真爛漫タイプなのですが、私は正直あまり彼らに親近感をもつことができません。むしろオルフェウスのようにジレンマに苦しむキャラクターの方が愛しいと感じます。彼の存在が、このストーリーを重みのあるものにしています。   ミス・クイーンとイカルスの関係も気になっていました。ミス・クイーンが最初ヘルメスを好きだったため、イカロスが一歩引いてなかなか発展しないのでやきもきします。そして最後はイカルスが自分の星に帰ってしまい、悲恋に終わったような……大人の愛の形ですね。   印象深いラストシーンは、帰っていった兄弟が、遠い未来の宇宙でジークフリートそっくりの青年とすれ違うというものです。兄弟たちは地球人より遥かに寿命が長い種族で、既にジークフリートが生きているはずはないほど時間は経っています。その青年があまりにもジークフリートに似ていたため、兄弟たちは思わず「フリー!(ジークフリートのことです)」と呼びかけてしまいます。やはりジークフリートではありませんでしたが、ジークフリートの遠い子孫にあたる青年だったのでした。短いエピソードの中に、
  • 3人の兄弟たちが、地球を離れた後もまだジークフリートのことをずっと愛していたこと
  • 寿命の長さが違うせいで、ジークフリートの生きた時代は既に遠くなってしまったのに兄弟たちはそのまま生きているという切なさ
  • ジークフリートとビクトリアがその後も幸せな人生を生きて子孫を残したこと
が全て示されている、名場面です。私は、このエンディングは出色の出来だと思います。  

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