H2O!前代未聞!!

データ

作品名

H2O!前代未聞!!

著者

山本鈴美香

巻数

1巻(現在出版されている文庫版では、この作品の前編となるひっくりかえったおもちゃ箱と同時収録のようです)

出版社

集英社

出版年

1979年

おすすめ度

★★★☆☆

これから読まれる方へ

なるべくネタバレのないあらすじ

以前紹介した、ひっくりかえったおもちゃ箱の続編です。基本的に、前作のネタバレがあります。ヒロイン美鈴と、前作から引き続きお父さんの剛さん、剛さんの親友の純さんがメインキャラクターとして活躍します。   法的な問題は解決していないものの、婚約者としてお付き合いしている美鈴と剛さん。ある夜のこと、就寝中の美鈴は不思議な夢のなかに入り込んでしまいます。そこには10年前時間軸の剛さんと純さんがいます。3人は神様から、夢のなかに迷い込んで元の世界に帰れなくなってしまった多くの人々を助ける救世主になるよう告げられます。3人は歴史上のいろいろな時代を旅して、スサノオやクレオパトラ、光源氏など有名な人物たちと出会います。時代は隔たっていても、彼らの悩みはまさに今の美鈴が悩んでいることと同じ。やがて新キャラのマークが加わり、剛さんと純さんも10年前から今の時代の彼らに入れ替わります。美鈴を堕落の道に誘い込もうとするルシファーの誘惑を退け、生きていくってどういうことなんだろう……と考えながら、3人は旅をすすめます。   作者独特の世界観へ連れていってくれる、不思議な作品です。各時代でのエピソード一つ一つが興味深く、時代の切り替えもまるで夢のなかのように不思議に行われます。ところどころ宗教的な描写がありますので、お気をつけて。現在は、前作とまとめて、下の文庫版で入手できるようです。 山本鈴美香傑作集 1 ひっくりかえったおもちゃ箱 (ホーム社漫画文庫)

メモ1

作者の山本鈴美香が、後に新興宗教の巫女になったのは有名な話です。本作では、「生きていくとはどういうことか」「愛とはなにか」「人生で大切にすべきものはなにか」といった疑問が随所にでてきており、作者が当時からそのようなことがらに関心をもっていたことが伺えます。エースをねらえ!の頃もストイックな作風でしたが、本作ではそれがより一層思想的な方向に発展しているように見えます。 以下ネタバレあり!

また読みたくなった方用

この作品、作者の気分で急に話が変わっているように思えます。剛さんと純さんが急に10年前の彼らから現在の彼らになるところや、旅をする時代の切れ目、作品終盤の急に風呂敷をまとめだしたかのような終わり方など、唐突な印象を受ける箇所が多いのです。最終回までに夢のひずみから一部の人を助けだしただけで、まだ残りの人達を助ける旅は続く……というなんとも尻切れトンボな終わり方です。打ち切りだったのでしょうか。

個人的な感想

本作から新しく仲間に加わる マーク同様、美鈴を誘惑して堕落させようとする天使長ルシファーも印象的なキャラクターです。後半は宗教的な対話が非常に多くなっていきます。神の愛を求 めながら、一番に愛されないがために堕天したルシファーの経緯などもほのめかされます。ここまでコメディーキャラだったルシファーが急にシリアスな背景を みせる場面です。   ヤマタのオロチの写真を撮ろうとやっきになって結 局失敗してしまう純さんや、美鈴と友達になるバクの話など、折にふれて、現実の名誉や欲にかられて幸せな人生を生きていくことを忘れてしまわないように警 告があります。剛さんが美鈴と雪の中を歩きながら、美鈴への思いを再確認し、現実の仕事に気を取られすぎず、心をこめて生きていこうと確認するところも好きなエピソードです。 ※Wikipediaや個人のウェブページなどへの転載はご遠慮ください

H2O!前代未聞!!” への1件のコメント

  1. ピンバック: » ひっくりかえったおもちゃ箱

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