プリーズ、ジーヴズ(ジーヴズの事件簿)

プリーズ、ジーヴス 1 (花とゆめCOMICSスペシャル)ジーヴズの事件簿―才智縦横の巻 (文春文庫)

データ

作品名

プリーズ、ジーヴス(漫画)

ジーヴズの事件簿(漫画の原作となった小説)

 

著者

P.G.ウッドハウス(原作)

  • プリーズ、ジーヴス:森村たまき(翻訳)・勝田文(漫画)
  • ジーヴズの事件簿:岩永 正勝 小山 太一(翻訳)

巻数

既刊4巻(プリーズ、ジーヴズ)

文庫2巻(ジーヴズの事件簿―大胆不敵の巻才智縦横の巻

 

出版社

白泉社(プリーズ、ジーヴズ)

文藝春秋(ジーヴズの事件簿)

 

掲載誌

Melody(プリーズ、ジーヴス)

 

出版年

1919年(原作小説)

2009年(プリーズ、ジーヴス)

 

おすすめ度

★★★★☆


紹介

名門貴族のバーティとその従僕ジーヴズがおりなすコメディです。「事件簿」と銘打っている作品があるので、探偵ものかと思いきやコメディなんです。

 

語り手になるバーティは、将来伯爵の爵位をつぐ名家の出身。今はロンドンのフラット(マンション)で一人暮らしをしています。その彼の従僕(日本語版ではわかりやすいように「執事」と訳されていることが多いみたいです)、ジーヴズは完璧に仕事をこなす上に、頭もきれるのでバーティをはじめ周りから頼りにされています。

 

バーティは、ジーヴズなしではやっていけないと自覚するほど彼にたよりきりです。一方のジーヴズも、頭はそれほどよくないものの大らかで明るい主人が気に入っています(ときどき笑いものにして遊んだりしていますが・・・)。バーティのところに持ち込まれる難題を、ジーヴズが快刀乱麻を断つように解決していく様子が小気味良いコメディ。イギリス作家らしい、皮肉にあふれた作品です。

 

もう一つの見どころは、服装に関する主従の対決。ジーヴズは服装に熱いこだわりがあり、しかも保守的な趣味。バーティーは前衛的な好みのため、毎度毎度ジーヴズが真っ青になるような派手な色やデザインの洋服を買ってははしゃいでいます。物語の冒頭でバーティーが手に入れた奇抜な衣装にジーヴズが顔をしかめ、そのせいでジーヴズが問題解決に協力的でないこともしばしば。しかし、結局バーティーはジーヴズに助けられ、感謝をこめてその衣装を手放すことを決めるところで物語のオチがつく(もしくはすでにジーヴズに廃棄された後だった)・・・というのが定番の流れです。

 


 

メモ1 原作小説を読むなら

原作小説は日本語では3種類出ています。

  1. ジーヴズの事件簿―才智縦横の巻・大胆不敵の巻(岩永正勝・小山太一訳) 文藝春秋 [文春文庫]

  2. P.G.ウッドハウス選集 ジーヴズの事件簿(岩永正勝・小山太一訳) 文藝春秋 [ハードカバー]

  3. ウッドハウスコレクション 比類なきジーヴズ 他(森村 たまき訳) 国書刊行会 [ソフトカバー]

最もおすすめなのは、1. ジーヴズの事件簿(文春文庫)の2冊です。入手しやすく、読みやすく雰囲気を殺さない良訳です。

 

同じ訳者の2. ジーヴズの事件簿(ハードカバー)の方もダイジェストで良作がコンパクトに詰まっており、訳者も同じなので安心して読めます。ただし、すでに絶版なようで古本でしか入手できないようです。

 

比類なきジーヴズ他、森村たまきが訳しているものはあまりおすすめしません。訳が固くて、こなれた日本語ではないので読みづらいと思います。ただし、冊数が揃っているので、全話コンプリートしたい場合は手を出さざるをえないでしょう。

 

 

原作小説でこのバーティーとジーヴズの出てくる作品群は、ジーヴズとウースターのシリーズ(Jeeves & Wooster, J&W)と呼ばれることが多いようです。

 

メモ2 漫画化について

漫画の方(プリーズ、ジーヴズ)は、日本語版の作者の一人である森村たまきが監修しています。

勝田文による漫画は、シンプルで好き嫌いのわかれない絵柄で好感が持てます。原作小説を読んで想像していたより、ジーヴズが表情豊かですが、もともと主人の服が気に入らないだけでふてくされたり、楽しみにしていたモンテカルロに行けなくなって落ち込んだりするくらいなので、意外と人間らしいのかもしれません。原作の雰囲気を壊さない、よい漫画です。

 

メモ3 キャラクター

出てくる主なキャラクターは、以下の4人です。

  • バーティー・ウースター(ほとんどの物語で語り手。叔父が伯爵の爵位を持つ貴族。)
  • ジーヴズ(バーティの従僕)
  • ビンゴ・リトル(バーティーの悪友。恐ろしく惚れっぽく、今度こそ本当の恋をした!と言いながらバーティーの家に駆け込んでくるのがお約束。彼がいなければジーヴズの抱える問題は半分くらい無くなるのでは・・・)
  • アガサ・グレッグソン(バーティーの恐るべき伯母さん。とても怖い。バーティーが世界中の何よりも恐れている存在。)

とりあえずこの4人を抑えておけば、どこからでも読めます。

 

メモ4 おすすめの作品

本編ではバーティーが語り手を努めますが、珍しくジーヴズ自身が語り手なのが「バーティー君の変心(Bertie Changes His Mind)」。ジーヴズの事件簿 ―才気縦横の巻で読めます。

 

ジーヴズがバーティーを評して、

『この方とのあらゆる面で好ましい関係を絶ちたくはなかったのですが』

『私ども二人の心地良い独身共同生活はおしまいです』

『大好きなウースター様のことですから、お顔を見るとくじけそうな気持ちになりました』

などというのが見どころ。普段はバーティーの頭の悪さをちょっと馬鹿にする言動すらあるのですが、実は相当主人を気に入っていたようです。

この話では、ジーヴズがバーティーの従僕をやめさせられるかもしれないことになり、その事態を回避するためにフル回転で活躍してくれます。

 

メモ5 ジーヴズとジーヴス

英語の表記ではJeevesですが、日本語版ではジーヴズ(岩永正勝・小山太一訳)とジーヴス(森村たまき訳)と異なる表記が使われています。漫画の方は森村たまき訳の方を原作にしているので、ジーヴス表記です。

 


ジーヴス英国紳士録 ~プリーズ、ジーヴス シリーズ~

漫画版の「プリーズ、ジーヴス」は既刊3巻出ていますが、その続刊はなぜか名前や表紙が変わって「ジーヴス英国紳士録 ~プリーズ、ジーヴス シリーズ~」となったようです。一応、「プリーズ、ジーヴス」の4巻目に相当するようです。名前が変わった理由がいまいちわかりませんが・・・

 


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