ひかわきょうこファンがLaLa40周年記念原画展に行ってみた

LaLa40周年記念原画展

日本各地を回っているLaLa40周年記念原画展、なかなか行けずに悔しい思いをしていたのですが、やっと行ける機会がきたので行ってきました。ひかわきょうこはなかなか作品展などがなく、カラー原画を見られる機会はそうそうないので、待ちに待ったチャンスです。サイン会とかやってくれたらいいのになあ。

入り口は戦争?



JR大阪駅前、または阪神梅田駅上がってすぐの阪神百貨店本店というデパートの8階催し物会場。LaLa40周年原画展大阪初日。できれば50個限定のコースターが欲しいな〜という軽い気持ちで、開店少し前の9時50分に阪神百貨店の前に着きました。すでに5〜6人の女性が開店を待っていました。年配の女性がデパートの開店を待っているのは珍しくないのですが、今日は20代、30代の若い女性も多く、これは戦争になるという予感がしました。

開店と同時に案の定エレベーターへほぼ全員がダッシュ、他の入り口から入ってきた人たちもいて、3台あったエレベーターはあっという間に埋まってしまいました。全員が無言のまま8階、催し物会場へ。私は前売り券を買っていなかったので並んだのですが、ポスター付きの前売り券を買っていた人は別の入口からスムーズに通され、ポスターを受け取っていました。すでに大阪会場の前売り券発売は終わっていますが、別会場で前売り券が買える方はその方がスムーズだと思われます。初日だったせいか窓口の人が発券に手間取って、前売り券組と比べてかなり出遅れました。よく考えたらなぜそんなに急いでいるのかわからないのですが、周りが殺気立っていたのでなんとなく私も急いでしまいました。コースターを受け取って、中へ。コースターは開始10〜15分後には無くなっていたようです。

やっとゆっくりできる、と思ったのに、周りは絵を見ることなくそのまま走り抜けていきます。限定の版画(2万円〜9万円します)を買いたい人、グッズを買い逃したくない人達が急いでいたようです。ちなみに私は2時間位会場にいたのですが、そのころもグッズは売り切れたものがなくしっかり在庫がありました。初日なのでたくさん用意があったのでしょうか。私も流れに乗って、まずグッズを買ってしまいました。

急いで走っていたのは最初の方に並んでいた人たちだけで、ほとんどの人たちはゆっくり過ごしていました。平日の午前中だというのにかなり人がいて、男性もちらほらいました。混んでいて絵が見られないというほどでもなく、ほどほどでよかったと思います。年齢層は20代〜上は50代、60代までいました。ちょっとがっかりしたこと、絵にそれぞれ個別にライトが当てられており、じっくり見ようとして近づくと自分の影が絵の上にできてしまってよく見えない上に現実に引き戻されるのが困りものでした。もう少し展示の方法を工夫できるのでは。

会場内〜展示

会場はIKEMEN、FANTASY、LOVEなどテーマのあるコーナーに分かれており、入り口のパネルでお目当ての作家の作品がどのテーマのところにあるか確認できるようになっていました。それにしてもIKEMENって……ネーミングセンス……。また同じく入り口にはLaLa創刊から現在までの歴史年表が貼ってあり、各時代のLaLaの表紙が並べられていました。初期は山岸凉子や萩尾望都の表紙もあり、70〜90年代にかけては、ひかわきょうこの表紙もたくさんありました。会場は思ったよりこじんまりしていましたが、絵の1つ1つがそれほど大きくないので、絵の総数はすべての作家のものを足し合わせるとかなりたくさんありました。もともとかなり大きく描いた絵を縮小印刷してLaLaやコミックスの表紙にしているのだなあと思いました。どの漫画家もかなり細かく丁寧に描き込んであるものが多く、印刷ではとんでしまって見えなかったけどこんなに綺麗だったんだなあと感心しながら見ました。特に清水玲子は圧倒的で、彼女の絵は数も多かったですし、前に立ち止まって眺めている人も多かったように思います。模様も細かく描き込んであり、色の塗り方も芸術的でした。成田美名子も作品数が多く、以前読んだときは気づかなかったのですが背景の景色や、ピアノに映り込んだ光などこんなに上手いんだなあと改めて気付かされました。どの漫画家のものも、かなり昔のカラー絵も、白い部分が黄ばんだりせず古い感じがしなくて、綺麗に保存してあるのだなと驚きました。

ひかわきょうこは、彼方からをメインに2,3点、千津美と藤臣君が1点、荒野の天使どもが1点、時間を止めて待っていてが1点。人気作をバランスよく採用したかなという印象です。初期の作品はブラウンの色鉛筆っぽいカスレのある主線を使っていましたが、近年(彼方から、お伽もよう綾にしき)のものには主線を黒インクにしてあるものもあり、いまだに試行錯誤しているのだなと思いました。私は特に初期の頃に多かった、色鉛筆で塗ったような画用紙のザラつきが感じられるものが温かみがあって好きです。ひかわきょうこはカラー絵が得意ではなく、デビューからしばらくはお母さんに相談しながらカラーを描いていたとのことでしたが、藤臣くんの頃から、優しい気持ちになれるとても素敵なカラー絵だと思います。シャツのチェック柄がかなり細かく描いてあり、印刷後はこんなに綺麗には残らないだろうに手を抜かず丁寧に描いてあるのに驚きました。また、例えばダグラスはシャツの袖口ボタンを止めておらず開いたままにして細かいことにこだわらないおおらかな感じを、ミリアムは女性らしく内股ながらもやや大股で元気よく描かれていて、それぞれのキャラクターらしさに溢れていました。

このあたりの絵がありました。原寸で見ると迫力がすごい。※注:絵をクリックするとAmazonに飛びます。




24年組では萩尾望都、竹宮恵子、山岸凉子、美内すずえの作品はそれぞれ数点のみでした。特に山岸凉子がLaLaに描いた日出処の天子は社会的にも大きな話題となった代表作の一つなのに、山岸凉子の絵が少ないのは(年表のLaLa表紙などはありましたが)、違和感がありました。覚えているのは2点、しかもその1点はLaLa創刊号表紙の複製で、小さい絵でした。LaLa初期の功労者なので、もっと場所を割いてもいいのでは。青池保子はZ(ツェット)を連載していた関係で、Zとエーベルバッハ少佐の絵が数点。相変わらず重厚な塗りが堪能できました。木原敏江は摩利と新吾の大きな絵がありましたが、やはり枚数はそれほどなかったような気がします。大島弓子はチビ猫をはじめ、絵もグッズも多かったです。


マツモトトモも目的の一つだったのですが、彼女の絵は男性の絵2点、女性の絵2点、男女揃った「キス」からの絵が1点。マツモトトモは男性の絵がとても魅力的なので、そちらをもっと数を増やせばいいのにと思いました。スーツのラインなど細かく描き込んであり、色彩は抑えめながらも雰囲気のある絵でした。マツモトトモはモノクロも魅力的な作家なので、カラーだけでなくモノクロ原稿も展示してくれれば嬉しかったなと思います。

会場内〜色紙

進んでいくと会場中ほどには、各作家からの40周年お祝い色紙とメッセージが並べられています。特に木原敏江のコメント「LaLaに摩利と新吾を描いていた期間は、私の青春でもありました(意訳)」というのが、早いうちにデビューして活躍してきた彼女らしく、印象深かったです。萩尾望都のコメントは少女漫画家の王道らしく、青池保子はすでに秋田書店で評価を確立した後に白泉社のLaLaに出張した経緯を踏まえた、大変らしいコメントでした。Zとエーベルバッハ少佐の色紙。マツモトトモは大阪の人らしいジョークをまじえたコメント。ひかわきょうこは自身の中でもっとも長くLaLaに連載した彼方からから、イザークとノリコの色紙でした。

驚いたのは平井摩利の色紙があったことです。平井摩利はもう漫画家をやめたそうで、今は子宮ラフメイカー活動をしているそうです(近況はtwitterまたはウェブサイト)。そもそも平井茉莉の火宵の月の絵が展示してあったこと自体、まだ編集部と連絡がつくことにびっくりしました。更に久しぶりに描いたという火宵の月のイラストが色紙に描かれており、感慨深かったという趣旨のコメントも残されていました。そういえば同時期にLaLaにかたつむり前線を描いていた藤川佳世は絵も色紙も見当たりませんでしたが、現在どうしているのでしょうか。ときどき思い出しては気になっています。

出口付近

出口のグッズ売り場手前には、これまでのLaLaとそのころの付録を並べたショウケースがありました。ひかわきょうこのカレンダー(藤臣くんが表紙)、素敵でした。あの絵もグッズにしてほしかった。

出口すぐは複製版画の申込になっていて、開店すぐは申込の行列ができていましたが、その後はまばらでした。ひかわきょうこの時間を止めて待っていての版画が欲しくて悩んだのですが、9万円するので涙をのんで諦めました。他の漫画家の人気作品は2万円代から買えるので、あまりたくさん申込がないと見込んでこの価格なのでしょうか。代わりに複製版画セットを買いました。

グッズ売り場はかなり狭く、公式サイトでも確認できるとおり缶バッジ、クリアファイル、マスキングテープ、40周年原画展冊子などが置いてありました。ポストカードはわりとたくさんの種類がありましたが、その他のグッズとの柄被りも多く、この作家のこの作品ならもっといいカラー絵があるのにどうしてこの絵ばかり使ったのだろうと思うものもありました。あとなぜか貴重な一角を文庫本売り場にあててあったのですが、そもそも原画展に来る人はもう漫画はもっているので、その分グッズをおいてくれればいいのに、と思いました。昔好きだった漫画家の最近の作品などを思わず買ったりする人をターゲットにしているのでしょうか。ひかわきょうこの白い窓の向こう側、藤臣くんシリーズをはじめとした昔の漫画の文庫が揃っていたので思わず近寄ってしまいました。もう持っているので買いませんでしたが。

会場出たところにある撮影可能スペース

感想

フィーチャーされている漫画家(成田美名子、清水玲子、葉鳥ビスコ、あきづき空太、樋野まつりなど)を除いて、ほとんどの漫画家一人あたりの作品の数は多くないので、誰か一人を目的に見にいくと期待はずれかもしれません。が、好きな漫画家が複数いたり、LaLa本誌を読んでいたりするとかなり楽しいのではないかと思います。実際ほかの会場を含めてもう4,5回も来ていたり、他の地方から限定版画だけ買いに来たりしている人もいたようです。

グッズ

コースター。ポスターも会場看板もチケットもすべてこの意匠なので、どれか一つあればもういいかなと思いました。コースターに書かれている漫画家の順番が何の序列なのか気になります。年齢かな?


大島弓子グッズ。大島弓子は綿の国星以外にもいい作品があるのになぜちびねこ一択なのかと思ったら、綿の国星以外のほとんどの作品は、マーガレットか少コミなのでLaLa展では扱えないのですね。赤い大判は、70・80年代の原画セットです。


原画セット(裏)。青池保子、大島弓子、木原敏江、萩尾望都、成田美名子、樹なつみ、ひかわきょうこ、清水玲子、安孫子三和、岡野史佳というまさにゴールデンセット。買うしかない。エイリアン通りの集合絵は、私はこの絵が一番印象に残っています。90年代セットにはマツモトトモもいました。それにしても70・80年代セットと銘打っているだけあって藤臣くんが入ってるあたり、ひかわきょうこは「彼方から」以外にもいい作品があるんだってことを編集部がわかってくれてる気がします。


ファイルと絵葉書、パスケースシール。かつてこれほどまでに、ひかわきょうことマツモトトモのグッズが充実した時期があっただろうか・・・。できればダグラスとミリアムのシリーズからもグッズがあれば本当によかったのになあと思います。この二人のシリーズからは、グッズ系は版画(9万円)のみ。今後新しく追加されることを祈ります。



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